2021.11.03基礎知識

【税理士監修】仮想通貨の税金|個人と法人で税金の仕組を徹底解説

最近、仮想通貨ブームが到来しています。
そのため、仮想通貨を購入して一気に大金を稼ぎたいと思っている方も多くいるでしょう。

しかし、仮想通貨で利益を出した場合、その金額に応じて税金を支払わなければいけないということをご存じでしょうか?
自分で確定申告をして税金を払っていなければ、後日税務署から追徴課税として多額の支払いを請求される可能性があります。

そこで今回は、仮想通貨の取引を行っている方向けに、仮想通貨での取引を行った際に発生する仮想通貨の税金について詳しく見ていきます。
法人と個人でも税制は異なりますし、日本と海外でも変わるので、しっかりと確認しておきましょう。

 

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仮想通貨で利益を出したら確定申告が必要

仮想通貨の売買で利益を上げた場合、確定申告をして利益の額に応じて税金の支払いをしなければいけません。
サラリーマンの方は基本的に会社の経理で申告が行われており、給料から天引きで支払われているため、自分で税金を支払う必要はありません。

しかし、追加で利益がある場合には自分で確定申告を行う必要があります。
つまり、サラリーマンの方でも自営業者の方でも、仮想通貨の取引において利益を出した場合、確定申告を行ってその分の税金を支払わなければいけないのです。

仮想通貨の確定申告の際には、さまざまなルールがあります。

 

仮想通貨の確定申告のルール

仮想通貨での利益は雑所得に分類される
・経費の計上が可能
・損益通算はできない
・確定申告が必要ない人もいる
・確定申告をしないと延滞税と加算税がかかる

 

これを理解した上で、確定申告を行うようにしましょう。

 

仮想通貨での利益は雑所得に分類される

仮想通貨で利益を得た場合、雑所得として総合課税の対象となります。
そのため、仮想通貨以外で給与がある場合、その金額と合算して税率が決まるという仕組みです。

日本は累進課税という制度になっているため、給与もしくは自分の仮想通貨の利益が高くなった場合には税率が高くなるので、税金の負担が大きくなってしまうのです。

 

経費の計上が可能

仮想通貨の利益を出すために、経費がかかることもあるでしょう。
例えば、勉強するためにセミナーに参加したり、書籍を購入することもあります。

このように仮想通貨の取引のために必要なものを購入した費用は、経費として計上することができます。
経費を計上することで、支払う税金の額を減らすことができるので、必ず領収書を用意して申請するようにしましょう。

ただ、通信費やパソコン代を経費として計上する場合、プライベートで使っている分と仮想通貨のために利用している分を按分して計算しなければいけないので、注意が必要です。

 

損益通算はできない

FXや株の投資では、損失が出てしまった場合に確定申告を行って損失を繰り越したり、他の利益と相殺することができます。
これを損益通算と呼びます。

しかし、仮想通貨の取引においては、損益通算を行うことはできません。
万が一損失を出してしまった場合でも、それを使って税金を安くすることはできないので、注意しておきましょう。

 

確定申告が必要ない人もいる

仮想通貨の取引をしている方でも、全員が確定申告をしなければいけないわけではありません。
以下の条件に当てはまる方は、確定申告をしなくてもいいと決められています。

 

・サラリーマンの方で年間20万円以下の仮想通貨の所得がある方
・無職、専業主婦の方で年間38万円以下の仮想通貨の所得がある方

つまり、仮想通貨の取引を行っていても、一定以下の所得しか稼いでいなければ確定申告の必要がないということです。

また、当たり前のことではありますが、仮想通貨の取引を行っていても損失が出てしまっている場合には確定申告で税金を支払う必要はありません。
もしも他にも雑所得がある場合には、損失分を相殺することもできます。

 

確定申告をしないと延滞税と加算税がかかる

確定申告をしなくても、バレないと考えている方もいるでしょう。
しかし、税務署では毎年ランダムで調査が行われており、もしも収入があったのに税金を支払っていないということが発覚してしまった場合、延滞税と加算税が追加で課せられます。

 

確定申告をしていない時に課せられる税金の種類
・延滞税:申告期限の翌日から納付した日までの日数に最大14.6%の年利をプラスした金額
・過少申告加算税:申告額が正しい額よ少なかった場合に最大15%の年利がプラス
・無申告加算税:申告忘れや申告遅れの場合に最大30%の年利がプラス

 

このように、すでに支払わなければいけなかった税金に加えて多くの税金がかかってくるので、負担が大きくなってしまいます。
そのため、確定申告は必ず行っておくようにしましょう。

 

 

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仮想通貨の確定申告|個人と法人の違い

仮想通貨の確定申告に関しては、2017年に法整備されて税制が決められています。

ただ、個人と法人では確定申告の方法が異なるので、自分が該当する方をチェックしておきましょう。

 

個人の仮想通貨取引での税率

個人で仮想通貨の取引を行っている場合、確定申告の税区分は「雑所得」となっています。
雑所得は累進課税制度が採用されているので、利益額によって税率が変わる仕組みとなっています。

 

課税所得 税率
195万円以下 5%
195~330万円以下 10%
330~695万円以下 20%
695~900万円以下 23%
900~1800万円以下 33%
1800~4000万円以下 40%
4000万円~ 45%

 

この課税所得は仮想通貨の利益だけではなく、自分の他の収入と合算するので、会社からもらう給与が高い方ほど高い税金を支払わなければいけなくなります。

また、ここで算出されているのは所得税の金額で、これとは別に一律10%の税率を掛け合わせた住民税の支払いもあるので、気を付けておきましょう。

 

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法人の仮想通貨取引での税率

法人で仮想通貨の取引を行う場合、「法人税」の区分となります。
そのため、資本金が1億円を超える企業に関しては一律23.2%となっていますが、資本金が1億円以下の企業の場合は税率が軽減されます。

 

税区分 税率
資本金1億円以下 年800万以下の所得の部分 下記以外の法人 15%
適用除外事業者 19%
年800万を超える所得の部分 23,2%
上記以外の法人 23.2%

 

このように法人の資本金や所得によって税率が変わります。
これに加えて、住民税や事業税がかかります。

法人の場合は、口座開設の際に法人口座を選択する必要があるので注意しましょう。

 

法人口座の場合は税制が優遇される

個人で確定申告を行う場合、サラリーマンの給料と損益通算をすることはできません。
損益通算とは、現状ある所得と損失分を合算することを指します。

しかし、法人の場合は損益通算を行うことができるので、仮想通貨で損失を出してしまった場合でも企業の利益と合算することができ、支払う税金の額を減らすことができるのです。

また、事業所得として算出することができるため、赤字は10年間繰越すことが可能となっています。
そのため、損失を出してしまった場合でも長期的に見て取り戻すことができると言われています。

 

法人口座が開設できる取引所は少ない

現状、法人口座を開設することができる取引所は少ないです。
そのため、取引をできる取引所は限られてしまう点はデメリットと言えるでしょう。

事前にチェックしてから口座を開設することをおすすめします。

 

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仮想通貨の課税対象となるタイミング

仮想通貨の取引を行う中で、いつ利益が確定となり課税対象となるのか分からないという方は多いでしょう。

 

仮想通貨の課税となるタイミング

仮想通貨を売って法定通貨に換えた時
・仮想通貨で買い物を行う
・仮想通貨で他の仮想通貨を購入した時

 

そこでここからは、仮想通貨が課税対象となるタイミングについてご紹介していきます。

 

仮想通貨を売って法定通貨に換えた時

保有していた仮想通貨を売って法定通貨に換えた場合、利益が確定となるので課税対象となります。
この時に課税対象となる額は、「購入した時の金額-売却した時の金額」です。

最も単純な方法なので、誰でも分かりやすいでしょう。

 

仮想通貨で買い物を行う

最近は仮想通貨で決済を行うことができるサービスも増えてきています。
仮想通貨を使って何か商品やサービスを購入すると、その時点で利益が出たという認識になります。

これはあまり理解しづらいかもしれませんが、一度仮想通貨を現金化して購入したということになっているのです。

この場合は「商品の価格-仮想通貨の購入単価×支払い枚数」という計算になります。

 

仮想通貨で他の仮想通貨を購入した時

仮想通貨を使って他の仮想通貨を購入した場合にも利益が発生します。

最近は自分の保有している仮想通貨を使って他の通貨を購入するというケースも増えているので、この際にも課税対象となることを理解しておかなければ、後で大きな税金がかかってくるケースもあるので注意しておきましょう。

この場合の計算式は、「他の仮想通貨購入金額-仮想通貨の購入単価×支払い枚数」となります。

 

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仮想通貨の確定申告を行う際の計算方法

仮想通貨の利益を使って確定申告を行う際には、いくつかの計算方法を利用します。
そこでここからは、その計算方法について見ていきましょう。

 

仮想通貨の確定申告を行う際の計算方法

・移動平均法
・総平均法

 

自分で計算をして出す方法もありますが、仮想通貨損益計算ツールを使って簡単に導き出すことも可能となっています。
ただ、ツールを使う場合でも、計算方法を分かっていた方がスムーズに手続きを進められます。

 

移動平均法

移動平均法とは、仮想通貨を購入する度に取得価格と残高の平均を出し、所得を計算するという方法です。
仮想通貨を購入する度に計算を行うため、年度の途中でもある程度のメリットを出すことができます。

しかし、スキャルピングやデイトレードのように、短時間でたくさんの取引を実施するスタイルのトレーダーの場合、毎回計算を行うのが大変になってしまうこともあるでしょう。
そのような方は、総平均法を利用することをおすすめします。

 

総平均法

総平均法とは、1年間に購入した金額を合算して、取引の数量で割って取得単価をまとめて計算する方法です。
計算をするためには、取引事業者によって発行された年間取引報告書を使い、国税庁の計算書に転機するのみという方法です。
このように自動で取引の計算を行ってくれるため、個人の投資家であっても簡単に計算を行うことができるというメリットがあります。

しかし、移動平均法のように年度の途中である程度の計算を出すことはできません。
そのため、今年の税金がいくらになるのかを予測するために使うのには向かないといえるでしょう。

簡易で計算したい方には、おすすめの方法となります。

 

 

 

世界の仮想通貨の税金の実情

ここまでは日本の仮想通貨の利益に対する税金事情について見てきました。
しかし、世界の各国では仮想通貨に対する税制は異なります。

そこでここからは、世界の仮想通貨の税金事情について見ていきましょう。

 

日本よりも圧倒的に税金が安い国が多い

仮想通貨に対する税金は、日本が最も高いと言われています。

他国では長期保有していれば税金が発生しなかったり、税金が安くなるという仕組みが用意されていることもあるので、日本に比べると税金の支払いが少ないところが多くあります。

 

アメリカの実情

アメリカは株と同様に、仮想通貨も資産と見なして税金の支払いが必要となります。

ただ、税金の支払いが必要になるのは保有して1年以上たってからのことで、所得に応じて最大20%の範囲で税金が課せられる形となっています。
日本に比べると緩い制度と言えるでしょう。

 

ドイツの実情

ドイツは仮想通貨に対する税制がゆるいことで有名です。

ビットコインの取引に関しては付加価値税が免税となっており、1年以上の保有で譲渡所得税も免税となります。
また、ヨーロッパ市民はドイツへ移転し税控除を受けることも可能となっているので、資産を移行させる人も増えています。

 

 

まとめ

いかがでしたか?仮想通貨は現在ブームとなっていますが、大きく稼げば稼ぐほど税金がかかってくることも忘れてはいけません。

日本は仮想通貨に対する税率が高くなっているので、稼いだ時ほど税金の支払いのことも考えておく必要があります。
サラリーマンの方と法人では確定申告のやり方も異なりますので、その違いをきちんと理解して確定申告を行いましょう。

 

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著者プロフィール

NEXT FINANCIAL INNOVATION株式会社 代表取締役 菊山 敬太郎
大学在学中にカナダに海外留学を経て、その後税理士法人で勤務しながら大学院で法学研究科を卒業後、経済情報研究科にも進学し経済を学ぶ。
税理士事務所で勤務と同時に2020年6月にメディア運営の法人会社を設立する。

仮想通貨歴
2017年に仮想通貨の投資に参加。
仮想通貨の売買するだけではなくブロックチェーンの素晴らしさを広めたくなり2021年9月にブログを開設しました。
仮想通貨について15以上取引所を開設し、100種類以上の通貨を売買を継続中。仮想通貨、NFT、DeFi、DAO、GameFi、web3.0などブロックチェーンに関わる分野を色々調べて仮想通貨ブログを運営しています
2024年1月に向けてSNS、WEB3.0、メタバース、NFT、データ解析の仕事ができる企業及び個人と依頼したい企業及び個人の懸け橋となるサイト
【TARIRU】を現在制作中。